社会的絆を構築するための手助けに
スコットランドにあるグラスゴー大学のKatie A. Riddochさんと同僚達は153名の犬の飼い主に、どの犬の行動が愛犬との絆を深めるために特に重要と感じるかについて自由回答式での質問調査を行いました。(”Exploring behaviours perceived as important for human—Dog bonding and their translation to a robotic platform”)飼い主達からの回答は、分析の結果7つの核となるカテゴリーに分けることが出来るそうです。1、アクティビティを一緒に行う
多くの飼い主達が一緒に遊ぶことが絆を深めるには重要と回答しました。例えば、ロープやおもちゃを引っ張りあって遊ぶ、ボールなどを投げて持ってくるような遊びを通して行うトレーニング、楽しそうに遊んでいる様子を見せる(ボールやおもちゃを噛んで遊ぶなど)です。散歩も一緒に行うアクティビティで愛情と共通の楽しみとして重要と考えられます。散歩の途中で愛犬が顔を見上げて飼い主と一緒にいることを確認して(伝えて)くると回答している飼い主もいました。2、近くにいること
ここでは実際に距離が近くにいるということです。例えば、犬が部屋から部屋など行先に着いてきたり、散歩中に側を歩くなどです。このような行動から愛情や従順さを感じたり、又は飼い主が犬に保護や愛情を注いでいることの表れと認識していると回答があったそうです。また、多くの飼い主が一緒に寝ることが重要と回答しているそうで、夜の就寝時やソファなどでの昼寝も含まれます。3、コミュニケーション
非常に多くの飼い主が絆を深めるためにコミュニケーションが大切と回答しています。例えば、見つめ合うなど。犬が物(遊ぶ対象や食べ物など)を見てから、何かを要求するように飼い主の顔を見るなどの回答があったり、反対に犬が見ていることは気遣いの表れと感じるという回答もありました。他にはおもちゃを持ってくるという行動についても飼い主によって認識が違い、遊びの誘いと考えたり、慰めるために持ってくる、贈り物として持ってくると感じている人もいるようです。いずれの場合も飼い主からの要求で持ってくるのではなく、犬自ら持ってきておりコミュニケーションをしようという表れと考えられます。また、手や頭をくっつけてきたり、突っついてきたりなどの行動もコミュニケーションに入ります。声を使う、吠えるなどもコミュニケーションの手段として考えられます。最後に、飼い主からの指示を聞くというのもコミュニケーションのカテゴリーで、愛犬が”聞いている”と感じると回答。指示を聞くという行動は犬の知性と従順さを示してると感じるそうです。
4、身体的接触
触れ合う愛情行動も多くの飼い主が重要と考えいます。犬が寄りかかる、手を乗せてくる、足元で横になる、飼い主の隣でどこか触れる形で横になる、キスやハグをする、抱っこなどになります。飼い主側からではなく犬が前触れもなく見せるこれらの行動は、犬の気持ちのこもった愛情表現であると多くの飼い主が強く考えているようです。5、一貫性
飼い主を見た時や一緒にいる時に、嬉しい感情や興奮を見せる犬の好意的な特性と、幸せで楽しんでいる態度を示すことが犬と人との絆を深めると回答する飼い主も多くいます。また、どれだけ短い間であったとしても再会した時に見せる一貫した挨拶行動にも犬の愛情を感じるとする飼い主達もいます。飼い主が出すコマンドに一貫して従う、特に犬の名前を呼んだ時に来るという行動を重要と考える回答もあるようです。一貫性はやる気や従順さ、感情認識として決定的なものではあるけれど、飼い主によっては一貫性がないような行動も犬の独立性や何をしたいのかの選択を知るために良いと考えているようです。6、積極性と熱意
犬に熱意があること、飼い主が"愛犬は幸せを感じていると認識すること"が大切と回答してる人もいます。この回答をした三分の一が、飼い主の帰宅時に犬が「尻尾をぶんぶんと振る」「お尻をフリフリする」「興奮して喜んだ様子でジャンプしたり、飛んだり跳ねたりする」の何れかを述べています。そして多くの飼い主が飼い犬のことを、面白い子と考えていてその部分も大好きであると答えています。また、犬が嬉しい時に”笑う”表情をしているようだとの回答も多くあったそうです。7、同調
犬が行動を他に合わせる能力のことになります。例えば、飼い主の毎日の起床や就寝、出かける時間や帰宅時間などの決まったスケジュールを犬達は理解し、それに合わせて行動しているなどです。また、飼い主がストレスを感じた時や落ち込んでいるなどの感情の変化に気づくという感情の同調の回答も多かったそうです。飼い主が悲しんだり落ち込んだりしている時は、犬が横に座る、顔を舐めてくる、おもちゃを見せにくるなどの行動をとるそうです。