犬の嗅覚が優れているのは知っているけれど、人と比べてどの位優れているの?体のサイズや形が違う犬達で差はある?犬の中で一番嗅覚が優れている犬種は?こんな疑問に答える記事を紹介します。
驚くほど優れた嗅覚を持つ犬は、薬物探知や爆発物、トコジラミやシロアリの発見など様々な分野で活躍し私たちにとってもありがたいパートナー。最近では多くの国の法廷において、犬の嗅覚が探知したことが証拠として有効と認められるようにもなっている。セント・ラインナップ(scent lineups)と呼ばれるこの方法は現場に残された匂いと、犯人である可能性のある人達の匂いを犬が比べ、同じ匂いだった人をハンドラーに伝えるというもの。これは指紋、髪の毛、落し物など証拠は現場にあるという理論に基づいたもの。犯人の中は証拠を現場に残さないように細心の注意を払う者もいるかもしれない。しかしどんなに努力をしても、人間の持つ"匂い"を残さずに現場から姿を消すことは不可能に近い。セント・ラインナップの原理は、現場に残された匂いを犬にかがせ、容疑者の持ち物の匂いと合致するかを見るものだ。犬による犯人照合結果の受け入れには消極的な法廷もまだある。その為、セント・ラインナップが制度化されているのはオランダとポーランドの警察でのみで、北アメリカや他の多くの国ではひとつの証拠として採用されている。また法廷においてセント・ラインナップを証拠と認めるには、匂いを嗅いで容疑者を判断した犬はブラッドハウンドでなければいけないとしている。これを見る限り、法廷はブラッドハウンドの鼻は他の犬たちに比べ敏感で優れていると考えているようだ。それでは本当に犬種によって匂いの識別能力は違うのだろうか?全ての犬達は優れた嗅覚を持っているが、その才能は選別されたブリーディングによって更に伸ばされている。ビーグル、バセット・ハウンド、そしてブラッドハウンドは匂いに敏感な犬種の代表格といわれる。これらの犬達は匂いを察知し識別する能力だけではなく匂いの元を追いたいという情熱も持ち合わせるスペシャリストとして繁殖されてきている。犬の鼻内部にある骨稜は匂いを探知する細胞がある。この細胞は犬の鼻のサイズによって変わってくる。鼻部分が長く広い犬はこの細胞をより多くもっており、逆にパグやペキニーズなど鼻が短い犬種はこの細胞を多く持つスペースがあまりない。例えば匂いを探知する細胞の数はダックスフンドでおよそ125,000,000個、フォックス・テリアでおよそ147,000,000個、ジャーマン・シャパード・ドッグでおよそ225,000,000個といわれる。セント・ハウンドと呼ばれる犬達の鼻は幅広に出来ており、犬の体が大きくなくても匂いを分析する細胞を多く持っている。その為、ビーグルはジャーマン・シャパード・ドッグに比べ体は小さいが225,000,000個の嗅覚受容体を持っているとされる。法廷で「嗅覚におけるエキスパート」と考えられているブラッドハウンドはというと、やはり嗅覚受容体の数でチャンピオン。約300,000,000個もの嗅覚受容体がブラッドハウンドの鼻にはあり、この数は犬の中で最大である。犬ほど匂いに頼っては生きていない人間は犬に比べてどの位かというと、人の鼻にある匂いを探知する細胞は大体5,000,000個ほどだそうだ。これはビーグルに比べて約2%ほどに過ぎない。もう一つ犬の嗅覚について面白いことといえば、理由は完全に明らかにはなっていないがオス犬の方がメス犬よりも嗅覚が優れているようだ。ある行動科学者によると、これは体の大きさなどからくるものではなく単純にオス犬の方が興味を持って匂いに集中する傾向があるからかも知れないということだ。