パーソン・ラッセル・テリアとジャック・ラッセル・テリア(ラッセル・テリア)は共通のルーツを持ち、もともとはどちらも「ジョン(ジャック)・ラッセル牧師のテリア」という意味合いで"ジャック・ラッセル・テリア"と呼ばれていました。現在ジャパン・ケンネル・クラブでは別の犬種とされていますが、ケンネル・クラブや愛好家達によって呼び方などが違うようです。
はじまり
1800年代中頃イギリスで狩猟家として有名であったジョン(ジャック)・ラッセル牧師(Rev.John Russell)によるアカギツネ猟に優秀な犬を生み出そうという試みで、現在は絶滅しているオールド・イングリッシュ・ホワイト・テリア、ブラック・アンド・タン・テリア(初期のマンチェスターテリアタイプ)から生まれたといいます。
環境に合わせ変化をしていったジャック牧師のテリア
ジョン・ラッセル牧師の死後、ジャック牧師のテリア("ジャック・ラッセル・テリア")の中にワーキング・テリアとして更に発展していく犬達が出てきます。このテリア達は毛質や姿、性格よりもワーキング・ドッグとしての性質が重視され、おそらくウェルシュ・コーギーやチワワ、他のテリアなどとも掛け合わせが行われたといわれています。特にイギリスと環境の違うオーストラリアに渡った"ジャック・ラッセル・テリア"は馬に乗って運べるサイズ(バッグに入る)になったり、気候の変化にも対応していきました。
"オリジナル"
一方1904年にアーサー・ハイネマン(1914年ジャック・ラッセル・テリア・クラブ設立者)によるスタンダードは「14インチ・テリア*」と言われバランスが取れた体型で馬や他のハウンド達に付いて行ける足を持つとして示されています。この"オリジナル"のジャック・ラッセル・テリアは南イングランドで長年に渡り愛好家達により繁殖されてきました。
1970年代に入りイギリスで"ジャック・ラッセル・テリア"のスタンダードが"体高10インチ~15インチ"改正されると、14インチの"オリジナル"ジャック・ラッセル・テリアの愛好家達は犬種の存続のため1985年JRTBA(現PRTAA(Parson Russell Terrier Association of America))を設立します。アーサー・ハイネマンの残したスタンダードをベースとし、ジョン・ラッセル牧師が求めたアカギツネを地中、地上で追い立てる猟犬をスタンダードとしました。そして1990年にイギリスのケンネル・クラブがこのスタンダードを公認し"パーソン・ジャック・ラッセル・テリア"という名前でワーキング・タイプのフォックス・テリアとしました。
*14インチとは体高約35cm(オス)、33cm(メス)程の大きさ
日本ではどう区別している?
現在、ジャパン・ケンネル・クラブによると下記のように書いています。(FCIと同様)
基本的に似通ったスタンダードをもつが、体高とプロポーションが異なる2つのバラエティーに発展した。体高が高く、よりスクエアな体格に近いものが、今日ではパーソン・ラッセル・テリアとして、また体高が低く、わずかに体長が長いものが、ジャック・ラッセル・テリアとして知られている。
ショーに出る犬が"パーソン・ラッセル・テリアとしたり、ジャック牧師のテリアのルーツから発展した犬は全て"ジャック・ラッセル・テリア"などとする愛好家達もいます。
パーソン・ラッセル・テリアジャック・ラッセル・テリア