歴史ある木造建築物を救うワンコ達

犬の能力で歴史ある建造物を救う！

韓国・ソウル－「ボベ、ゴー!」訓練士が指を鳴らすとそのイングリッシュ・スパニエルは走って歴史ある景福宮内の柱に駆け寄り臭いを嗅ぎまわり始めた。そして突然、ボベは嗅ぎまわるのをやめ座って一本の柱を見つめた。ボベは探していたシロアリを見つけたのだ。

かつてイギリスのウェスト・ミッドランズで、犬仲間のウリーとボラムとともにボベは薬物や爆発物を探し当てる訓練を受けていた。

そして今、彼らは韓国で歴史的な木造建築を脅かすシロアリを探知する仕事をしている。

「犬達の仕事はエリアを探索し調べ、管理団体の研究者達が調べるべき範囲を狭めることです。犬の探知は他の方法に比べてとても効率がいいし、とても正確に探し当てることが出来ます。」と文化遺産管理団体のスペシャリストであるジャンさんは語る。

2匹のスパニエルと訓練士で探せば、面積は34ヘクタールに広がる景福宮全体を調べるのに2、3時間ほどだという。一方で別の方法だと、時には数日に及ぶこともあるという。

この犬達はサムソン探知犬センターが提供し、イギリスのウェストミッドランズの警察学校から来た。

訓練方法は爆発物や薬物探知に似ており、訓練士はスパニエル達にシロアリの臭いをかがせ、シロアリを隠して探させる練習を続けたという。また犬達がシロアリを発見した際は引っかいたりかじったりせずその場でジッと座るようにも訓練したという。

この作業の目的はシロアリが木造物の内側からダメージを与えるのを手遅れになる前に止めることにある。「もし人間の目でシロアリが見えるようならば柱の中は空洞でもう何もない状態になってしまっています。犬達は臭いで探知できるので手遅れになる前に見つけ出すことが出来ます。」とジャンさんはいう。

文化遺産管理団体は、研究者達が数ある建造物の中からシロアリがいる恐れがある建物がどれかを決定すると、犬達の年間スケジュールを決める。ボベ、ウリー、ボラムは韓国では2007年から働き始め、大体年間10から12回くらい韓国国内を行き来する。2匹が働いている間、1匹がお休みをするというスケジュールになっているという。

犬達のモチベーションは、シロアリを探し当てた時に訓練士が投げてくれるテニスボールだそうだ。

「私達にとっては仕事だけれど、犬達にとってはゲームみたいなもの。もしシロアリを見つけたら、ボールで遊べる。とってもシンプルで彼らは楽しんで探知をしてくれています。」と探知犬センターのマネージャー、ハ・ウジョンさんいう。

ちなみにこの探知犬センターではシロアリ探知犬だけではなく、年に10～12匹の盲導犬を必要とする人に寄付しているそうだ。

今のところ3匹とも元気に働いているが、ウリは8歳、他の2匹も7歳になりいずれ引退をするときがくる。

韓国では貴重な木製の文化遺産を守るためにもっと多くの探知犬を使うことが出来るだろう。

「もっと多くの探知犬が必要だと思います。とても有益な方法だし、数多くある木造物を探知するには3匹は少なすぎます。探知犬の引退は大体10歳から12歳くらい。犬に一から訓練するとなると少なくても1年半はかかるので、次の世代を探す時期がきています。」とジャンさんは語る。

お隣・韓国と同様、日本も木造建築が多い国。日本でもシロアリ探知犬の活躍に期待したい！！

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