記事では、多くのペット達が人と暮らす現代社会において動物から人へ感染する動物由来感染症(ズーノーシス/zoonosis)の心配だけではなく、その逆であるリバース・ズーノーシス(reverse zoonosis)と呼ばれるコンセプトへの研究、理解を深めるべきであるとしています。オレゴン州立大学獣医学のクリスチャーヌ・ラー教授(Christiane Loehr)によると、人から動物へ病気が感染した場合に動物達が健康を害するということも勿論重要だが、突然変異が起こる心配、そして新しいウィルスとして人獣共通感染症へ発展していく問題を抱えていると言います。家で飼われている猫と犬へのインフルエンザ感染を調査しているオレゴン州立大学とアイオワ州立大学の獣医学研究者達は、人にインフルエンザのような症状がある時はなるべくペットと距離を置くようにするべきだとしています。そしてペットが呼吸器系統の病気、または家族の誰かがインフルエンザのような病気をした後にペットの具合が悪くなったような時は動物病院へ連れて行きテストと治療を受けさせるようにした方が良いと言います。ラー教授によると、人から猫へ新型インフルエンザ(H1N1)が初めて感染したケースは恐らく2009年アメリカ・オレゴン州だといいます。重いインフルエンザの症状のため飼い主が入院している間に、家の中だけで暮らし他の人や野生動物などとの接触がなかった飼い猫が、H1N1感染による肺炎で死亡してしまったそうです。研究者達によると、その後2011~2012年にかけ人から猫13匹、犬1匹へのH1N1感染が確認されていて、ペットとして飼われていたフェレットへの感染もあったようだといいます。感染した動物達が見せる症状は人に発症した時と似ており、呼吸器系疾患を急速に引き起こし食欲がなくなり、時には命を落とす例もあるそうです。韓国では別のインフルエンザ(H3N2)が犬から猫にうつったケースがあり、様々な動物間で感染、そして人へもうつる可能性もあるとラー教授。リバース・ズーノーシスにおける大きな問題は、以前から知られている鳥や豚で進化するインフルエンザ・ウィルスのように、ある生物から別の生物へと感染してしまうことであり、その結果ウィルスが強力、致死率が高い、また簡単に感染するような形に変異してしまう可能性があることだと言います。「全てのウィルスにおいて変異はありえることだが、インフルエンザはウイルス配列を簡単に変えることができてしまうため特に気をつける必要がある。ホストと変異ということに関しては、まだまだわからないことが数多くあるためネコが第二のブタになってしまうことだってあるかも知れない。」とラー教授。
感染例が多く報告されているわけではないけれど、H1N1型が流行した後に日本や中国などでも人から犬への感染が疑われるケースがあったとも言われています。インフルエンザにかかったら人の家族と同様に、念のため愛犬(愛猫や他の動物達)とは距離をとって治った後も犬の様子に変化がないか観察した方が良さそう。かかると辛いインフルエンザ。まずは感染しないように気をつけて下さいね!